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NAOYA OHKAWA
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NAOYA OHKAWA
丸太を立てて、数回切り込みを入れたところに、火種を差し込むと松明にもなるし、ストーブにもなるし、コンロにもなる。スウェディッシュ・トーチとか、スウェーデン・トーチと名前がついている。
フィンランドの人たちが、スウェーデンではこういうのがあるらしいよ、とつくったのでスウェーデンと名を冠しているが、スウェーデンにも別にこういうものがあるわけではない、きっと誰かが聞いて来たのか、想像したのか、憧れや距離にねじれて、ありもしないものが生まれた。
パンとかケーキとか料理もよく、こういう名前のつけられ方をしていて、賑やかな港町の名前のついた、簡素な見た目のパスタはとても美味しい。出どころのわからない放浪の風情があって、ロマンチックな名前の付け方だなと思う。
スウェーデン・トーチは火をつけると、木の中の水分のせいで、とても濃い色の煙が出る。その後、切込みから入った風を食べて火が燃え上がる。網でも持って来ればお餅を焼ける。昔の人が、煙とか火を恐れたのもわかる気がする。生き物のように見える。人も、松明も、パンもケーキも、本当のことを言うと、火や煙に似たようなものかもしれない。
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