BLESS
NAOYA OHKAWA
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NAOYA OHKAWA
コテージのテラス、枯葉と薪で焚き火をしたり、パンとグラタンを焼いたりした。
直射日光がまぶしいので、ロールスクリーンを下ろす。アボカドを切ったり、トマトペーストを伸ばしていくのを眺める、なんと手際がいい。お腹がすいた、まだ日も落ちていないのに眠い。薪ストーブのせいか、ハイボールのせいだろう。
眠気覚ましに表に出る、寒いけれど日差しがやわらかい。こうも土地土地で日差しの形や質が違うのは、酸素とか水分とかが関係している。ごはんを炊いたり、パンを上手に焼いたりするのと同じだ。どういう加減でも、考え方とやり方次第で美味しくなるし、どういう場所でも日差しは綺麗だ。なぜか食べ物と日差しを重ねる。薪ストーブのせいか、ハイボールのせい。
お酒を飲みながら、いくつかの話とトランプをして、たまにストーブに薪をくべた。眠っている人と、起きている人がいて、音楽がかかっている。それが止む頃にはみんな眠った。
朝方、コテージを出てみると寒い。羽毛でも生えていれば違うのだろうけれど、もこもこと厚ぼったいジャンパーを着ていても顔と手が凍りそうだった。ちょっとすれば、この町も雪で閉ざされるらしい。
畑に落ちた枯葉が朝日を反射している。波に反射した西日がきらめいていた、あの海の景色に似ている。対岸に見えていた山の代わりに、カラマツが並ぶ。コテージに戻ったら、散らかった食器と、お酒の瓶と、トランプを片付けないと。
彼女が生まれて半年が経ったそう。手は小さくて白い、ふわふわとしていて、ちょうど昨晩焼いたパンみたい。
BLESS
NAOYA OHKAWA