冬枯れ
NAOYA OHKAWA
冬枯れ
NAOYA OHKAWA
冬枯れの風景は、終わりを連想してまうけれど、蠢くあたたかさと、あのみずみずしい、踊るような春への期待を含んでいる。気のふれそうな寒さも、心配することはない、どこかに温度を隠している。
ストーブに薪をくべて、暖かい服を着て毛布にくるまって黙っていれば、凍える冬は思ったよりあっさりと過ぎていく、安心していい。それになにも、そんなに冬を嫌うことはないじゃないか、おまつりもお祝いもたくさんある。
冬の花は湖のように静かで、枯れ草やすすきは、ふかふかしている。思えば、毛布も、コートも手袋も、動物の毛も、もしかしたら人の産毛も。気温こそ寒いけれど、冬の手ざわりはやわらかい。そう思えば次の冬、少しは楽しく過ごせるのではないだろうか。あの新緑をうるおす川にそそぐのは、雪解けの水だ。
ほらみたことか、冬は去り春が来て、雨がやめば夏だ。
冬枯れ
NAOYA OHKAWA