



































































































OAHU
NAOYA OHKAWA
OAHU
NAOYA OHKAWA
風景の写った写真を見て、ああ、これは海外の写真だなと、なんとはなしに雰囲気を察知するのは日差しの違いを感じ取るというところが大きい。ダニエル・K・イノウエ国際空港に到着し、ターミナルを出ると南国。ヤシの木から鋭角に漏れてくる日差しが南国。
初めてハワイに行ったのは数年前。なにがリゾートだい、南の島だい、ちゃらちゃらして、と斜に構えていたが機内のアナウンスがハワイまであと20分と告げる。読んでいた本を閉じる。どれ、南の島でも眺めてやろうですかねと、斜に構えすぎて横向き。ちょうどたまたま窓の外、眺めると黒みさえ感じるほど深い青の空と海。美しい鳥が羽を広げたような太陽、それを反射する、海、波、砂浜。なんの反骨なのかは不明だが、リゾートに向かって立てていた中指は力一杯に折りたたまれ、代わりに親指と小指がピンと立つ、ごく自然と。飛行機を降り、トランクを受け取るとアロハ、アロハと、さも自分の一番馴染んだ挨拶が、アロハ、であるかのように気の良い挨拶と笑いが自分の中から溢れてくる。まずは、アロハシャツを着たい。雨が降っていたが、熱帯に降る温かく音のない雨は心地よかった、アロハ、マハロ、アイムね、フロムね、ジャパン。
その旅から帰って来てからというもの、折にふれ、ああハワイに行きたい、ハワイに行きたいとのたまっていた。それ以来のオアフ島、羽田空港の時点で、陽気に親指と小指を力の限り振っていた、アロハ、マハロ、アイゴートゥー、ハワァイ。
数日間をホノルルで過ごす。お店の人と話し、美味しいものを食べ、ワイキキビーチで寝転んで過ごした。プールサイドでは、グラスの氷がみるみる溶けて丸みを帯びる。元来、温泉ではタオルを頭に乗せたいし、クリスマスには鶏を丸ごと焼いたやつ、誕生日にはモンブランかショートケーキを食べるような人間なので、ワイキキではベンチャーズとビーチボーイズを聴く。どちらもハワイ出身というわけではないけれど、どうでもいい。たまらない。
日本人ばかりだ、日本と変わらない、日本語ばかりだ、とよく言われるがそうでもない。もしくは、どこから来てもそう思うのかもしれない、色々な国の言葉とものが溢れている。それでも、紛れもなく南国。だってみんな陽気だし、ヤシの木もたくさん生えてるから。各国からの観光客に向けて、様々な国の料理と、ハワイの昔からの料理が混ざり合って、なんともいい。料理に限らず、洋服も、お土産も、お皿も、マーケットも、色々な国のものと、ハワイのものが溶け合っていてとても楽しい。
ノースショアに出掛けた。ホノルルほど観光業が入り込んでおらず、前に来た時にはまだ舗装されていない道もあった。小さい町がいくつか並んでいる。エネルギッシュな黄色とピンクの花が綺麗、梅の花のような控えめな花もどこか陽気でこだわるところのなさそうな、こざっぱりとした風情。日差しがあまりにも南国、全員の顔に、南国の日差しが落ちて、南国顔をしている。南国顔をぶら下げて、みんなふらふら歩いたり、バイクか車を運転するか、エビかバーガーを食べるか、海に浮かぶかをしている。
ハワイの人の多くが、ハワイが好きだと言うのを聞いた。ロンドンに行った時は、現地の人が何度もロンドンは嫌いだと言っていた。クラッシュもピストルズもロンドンも大好きだけれど、クラッシュやピストルズはロンドンのことを本当にあまり好きではなかったのかもしれない。
愛着と信仰が、地面とその下にあるマグマまで根を張っているんだろう、よそものや、海の向こうのことにもおおらかでやさしい。お土産屋の女性は、色々問題はあるよ、本当にたくさん、でもまぁ、ハワイだから、ここは。と笑っていた。まったく意味はわからなかったけれど、とてもいい。その人がとても美しかったのと、よくわからない感動の仕方をしたせいで、ただでさえ拙い英語は何も浮かばず、ただただアロハ、アロハ、マハロ、マハロ、とつぶやいた。全く意味はわからないが、でもまぁ、ハワイだから、ここは。
最終日の夕方、ワイキキビーチは夕日で橙と紫に光っていた。ボール遊びをする人も、寝転ぶ人も、泳ぐ人も、全員同じ色をしていて、夕日の落ちていく方を見ていた。また行きたいなぁ、ハワイ。
OAHU
NAOYA OHKAWA
OAHU
NAOYA OHKAWA