


























LI / KE A RIVER
NAOYA OHKAWA
LI / KE A RIVER
NAOYA OHKAWA
新しいカメラを買ったので、近所の川に出掛けた。なにを撮りたかった訳ではないけれど、広い場所に行きたかった。
枯れ草だらけだ、枯れ草だらけだけれど、見慣れないファインダーの中を通してみるには十分すぎる景色だった。厳しい冬特有の、こすりつけたような青色の空が綺麗だった。
きっと夏の大雨のせいで、こんな高いところに枯れ草が絡まっているんだろう。春に芽を出して手の施しようもなく大きくなった草が、雨で流れて来た。冬枯れも新緑も大雨も、季節は全てつながっているらしい。
川面に手をやると骨まで痛むほど冷たかった。上流で霞んでいる、あの壁のように高い山からやってくる水は、手のひらを避けながら、冷たさをそのままに、ひとときもとどまらずに、光を反射しながら海まで流れていく。
後ろを振り向くと、夕焼けのせいじゃないだろう、景色が金色に見えた。草むらについた車輪の跡。収穫の季節に、どっさりと麦を積んで野原を行くリヤカーを想起する。そんな訳はない。跡を追って草を踏みつけていくと、一本だけ木の生えた、特になにもないひらけたところで車輪の跡は消えていた。
よく見ると枝には蕾、冬に実るものもあるみたいだ。
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